ブッダが謎解く三世の物語

―『ディヴィヤ・アヴァダーナ』全訳― 【全2巻】

ブッダが謎解く三世の物語
著者 平岡 聡
ジャンル 仏典訳注研究
出版年月日 2007/10/01
定価 本体20,000円+税
在庫 在庫あり

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サンスクリット語で書かれたインドの仏教説話集『ディヴィヤ・アヴァダーナ』
日本語訳としてだけでなく、世界でも初の全訳。未知の文献が新たに紹介される!
〔ディヴィヤ・アヴァダーナとは〕
 『ディヴィヤ・アヴァダーナ』は、10世紀前後の北西インドで編纂されたと考えられ、全37章からなる説話の多くは、主に説一切有部という有力な部派仏教の一派が保持していた律蔵から取材したものと推定されています。したがって、研究者の間では、古代インドの仏教を考察する上で貴重な情報源とみなされ、論文などにもしばしば取り上げられる文献です。

〔物語の特徴〕
 インドでは「輪廻」という考え方が一般に浸透していることから、仏教の説話には過去物語・現在物語・未来物語が組み合わされたストーリーがよく見られます。『ディヴィヤ・アヴァダーナ』も例外ではありません。また、「アヴァダーナ」とは、教訓になるような喩え話のことと考えられてもいます。そこで、主題になるのは「輪廻」に伴う「業」という考え方です。『ディヴィヤ・アヴァダーナ』の説話の大半は、現在から過去へ、あるいは現在から未来へというストーリーの展開の末に、「行なわれた善行には必ず良い報いがあり、行なわれた悪行には必ず悪い報いがある。たとえ善行があっても自身の悪行の報いを帳消しにはできないのだ」という教訓をブッダ(釈尊)が語るという筋書きになります。おそらく、このような民衆教化が当時は行なわれていたのでしょう。

〔豊富な話題と編集の妙〕
 37章に渡る説話は実に多種多様です。主人公も、隊商主であったり、出家者であったり、さらには巧妙に擬人化された動物であったりします。また、内容も、SF映画を想わせるような一大スペクタクルあり、凄惨な残酷物語あり、身近な人情噺のようなものもあり、その中には、「ノアの方舟」や「わらしべ長者」の話に似た、どこかでお目に掛かったような物語も含まれています。それらの教訓話からグリム童話を思い起こされる方も多いのではないでしょうか。そして、当時のインドの人々の「有るものはありのままであり、現に有るものは以前からあるのだ」というような、率直な受け止め方を巧みに活かした編纂者の筋立てには、思わず苦笑してしまい、あるいは新鮮ささえ感じるのではないでしょうか。世界の物語文学に興味をお持ちの読者の皆様必見の書物です。

【上巻】
「第1章 餓鬼界を遍歴したコーティーカルナ」
~ 「第22章 自らの頭を布施する王」を収録。

【下巻】
「第23章-25章 素行の悪い比丘の末路」 
~ 「第37章 阿羅漢になった父と地獄に堕ちた息子」
及び Appendix A/Appendix B を収録。


【関連書】
『説話の考古学 ~インド仏教説話に秘められた思想』
平岡聡 著 A5判 512頁 税込10,500円 ISBN 4-8043-1054-1

ブッダの大いなる物語 ―梵文『マハーヴァストゥ』全訳― 【全2巻】
平岡聡 著 A5判 揃税込23,100円

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